はじめに

view of a gray building Photo by Hiroshi Kimura on Unsplash

「そろそろマンションを売却しようかな」そう考えたとき、多くの方が気になるのは「いくらで売れるのか」という査定額ではないでしょうか。

マンション査定の結果は、売却の成功を大きく左右します。できれば高い査定額を引き出したいというのは自然な思いです。しかし、何から準備してよいのか、リフォームは必要なのか、どのようなポイントを押さえればよいのか…初めての売却だと分からないことばかりですよね。

実は、マンション査定を高くするには、ちょっとした工夫と心がけで実現できるポイントが複数あります。本記事では、マンション査定を高くするための9つのポイントに加えて、リフォームすべきか否かの判断基準までを、分かりやすく解説します。これからマンション売却を検討される方は、ぜひ参考にしてください。

マンション査定を高くするための基礎知識

査定額が決まる仕組みを理解する

マンション査定を高くするには、まず査定額がどのように決まるのかを理解することが重要です。

不動産業者が行う査定は、主に3つの方法があります。

1. 取引事例比較法 同じエリア内で最近取引されたマンションの価格を参考に、査定対象物件との違いを調整して価格を算出します。最も一般的な方法です。

2. 原価法 土地の現在の価格に、建物の再建築費から経年劣化を差し引いて、現在の価値を算出します。主に一戸建てやビルで使われます。

3. 収益還元法 賃貸物件として貸した場合の家賃収入をもとに価値を算出します。投資用物件の査定で用いられることが多いです。

マンションは通常、取引事例比較法で査定されることがほとんどです。つまり、周辺の売却実績や市場動向が大きく影響するということを頭に入れておきましょう。

査定と売却価格は異なることを知る

重要なポイントですが、査定額と実際の売却価格は異なることがあります。査定額はあくまで「適正と考えられる価格の目安」であり、実際の販売価格は市場の需給バランスや購入希望者の交渉などで変動します。

ただし、マンション査定を高くすることで、売却価格の上限を高く設定できる可能性が高まります。つまり、査定額を高くすることは、売却成功への第一歩となるのです。

マンション査定を高くするための9つのポイント

a living room with a large window Photo by Danilo Rios on Unsplash

ポイント1:部屋をきれいに清掃する

最初にして最も基本的なポイントが、部屋の清掃です。査定士が物件を訪問する際に、汚れている部屋と清潔な部屋では、与える印象が大きく異なります。

査定は数値的な評価も重要ですが、第一印象も査定額に反映されることがあります。床や壁、窓、トイレ、キッチン、浴室など、隅々まで丁寧に掃除しておきましょう。特にキッチンやバスルームの水回り(みずまわり:水が使用される場所)は、劣化が目立ちやすいため、入念な清掃が効果的です。

ポイント2:破損箇所の修理・補修

ドアのきしみ、壊れた照明、割れた窓ガラス、剥がれたクロス(壁紙)など、小さな破損箇所を放置していないでしょうか。

これらの小さな損傷は、積み重なると査定士に「メンテナンスが行き届いていない」という悪印象を与えます。査定前に、簡単に修理できる破損箇所は直しておくことをおすすめします。

ただし、大規模な修理については次で説明するリフォームの判断基準を参考にしてください。

ポイント3:においを消す

「におい」は査定額に直結する重要な要素です。タバコのにおい、ペットのにおい、湿気によるカビのにおいなど、長く住んでいると気づきにくいものです。

査定の1〜2日前から、窓を十分に開けて換気を行い、消臭スプレーなどを活用してにおいを消しておきましょう。観葉植物やアロマを置くのも効果的です。「においで査定額が下がった」という事例は意外と多いため、侮らないようにしましょう。

ポイント4:採光と通風を最大限に活かす

査定当日は、天気が良い時間を選んで訪問してもらうのがおすすめです。可能であれば、午前中などの陽光が入る時間帯を指定しましょう。

また、訪問時はカーテンをすべて開けて、部屋を明るく見せます。通風も重要なセールスポイントになるため、窓をできるだけ開けて、空気の流通を演出するのも効果的です。明るく、風通しのよい部屋は、査定士にも購入希望者にも好印象を与えます。

ポイント5:庭やバルコニーの整理整頓

マンションでもバルコニー(ベランダ)を所有していることがほとんどです。バルコニーに物が散乱していたり、汚れていたりすると、室内がどんなに綺麗でも評価が下がります。

バルコニーは、将来の住まいのイメージに関わる重要なスペースです。不用な物は片付け、床や手すりを掃除し、すっきりとした状態を保つようにしましょう。

ポイント6:間取り図や購入時の書類を準備する

査定に訪れた査定士に提供する情報も、査定額を高くするのに役立ちます。マンション購入時の間取り図、重要事項説明書(じゅうようじこうせつめいしょ:不動産の重要な情報をまとめた書類)、設備仕様書などの書類を事前に準備しておきましょう。

また、リフォーム履歴や定期的なメンテナンス実績があれば、その記録も提示すると、物件の管理状況が良好であることをアピールできます。

ポイント7:近隣の売出し情報を把握する

マンション査定は、近隣の似たような物件がいくら売り出されているかに大きく影響されます。同じマンション内や近隣で、同じような間取り・専有面積(せんゆうめんせき:所有する部屋の面積)の物件が売り出されていないか確認しておきましょう。

もし相場より低い価格で売り出されている物件があれば、査定士はそれを参考にして低い査定額を提示する可能性があります。逆に、市場の需要が高いエリアであれば、査定額も上がりやすいです。

ポイント8:複数の不動産業者に査定を依頼する

これは査定額を高くするための最も効果的な方法の一つです。複数の不動産業者に査定を依頼すると、査定額の相場が見えてきます。

不動産業者によって査定方法や市場評価が異なるため、A社は3,000万円、B社は3,200万円という具合に、査定額に幅が出ることがあります。複数の査定から最も高い価格を提示した業者を選ぶのではなく、その額が妥当か判断することが重要です。

ポイント9:売却時期を戦略的に決める

「いつマンション査定を受けるのか」という時期も、査定額を左右する要素です。

一般的に、不動産市場は春(2月〜3月)と秋(9月〜10月)が活況です。これらの時期は転勤や新生活に向けた引っ越しが増えるため、マンションの需要が高まります。需要が高い時期に売却すれば、査定額も高くなる傾向があります。

逆に冬場は市場が冷え込みやすいため、可能であれば需要の高い季節を狙うのがおすすめです。

マンション査定前のリフォーム:すべきか否かの判断基準

リフォームが効果的な場合

マンション査定を高くするため、リフォームを検討される方も多いでしょう。しかし、すべてのリフォームが査定額アップに繋がるわけではありません。

リフォームが効果的な場合は、以下の通りです。

キッチンやバスルームの軽度なリフォーム 水回りは劣化が目立ちやすく、購入希望者が最も気になるポイントです。蛇口の交換、タイルの補修、給湯器の交換など、費用対効果の高いリフォームは査定額向上に繋がりやすいです。

クロス(壁紙)の張り替え 古いクロスは室内を暗く見せます。新しいクロスに張り替えるだけで、部屋全体が新しく見える効果があり、査定額も上がる可能性があります。

床の張り替え フローリング(木製の床)の傷や汚れは、査定額に大きく影響します。特に目立つ傷や凹みがあれば、張り替えを検討する価値があります。

リフォームが不要な場合

一方、以下のようなリフォームは、費用に見合う査定額の上昇が期待できないため、避けるべきです。

大規模な間取り変更 壁を取り払って間取りを変更する工事は、数百万円の費用がかかります。しかし、購入者はリフォームやリノベーション(既存建物を改造して性能を向上させること)の自由度を求めていることが多いため、売主が先に間取りを変更してしまうと、かえって売却が難しくなる場合があります。

高級な設備へのアップグレード 最新式のシステムキッチンや高級な浴槽を導入しても、その費用をすべて査定額に反映させることは難しいです。一般的な購入者が求める「清潔で機能的」な状態で十分です。

外装や構造に関わるリフォーム マンションの外壁や屋上、共用部分に関するリフォームは、個人では実施できません。これらは管理組合や大規模修繕の範囲です。

リフォームの判断基準:費用と期待値のバランス

マンション査定を高くするためのリフォームを検討する際の判断基準は、シンプルです。

リフォーム費用 < リフォームによる査定額上昇分

この式が成り立つかどうかを基準に判断しましょう。

例えば、30万円をかけてクロスや床を部分的に張り替えることで、査定額が50万円上がるなら、リフォームする価値があります。しかし、100万円の大規模リフォームで査定額が80万円しか上がらないなら、リフォームは不要です。

不動産業者に査定を依頼する際に、「このリフォームをすると査定額はどれくらい上がるのか」と具体的に相談することをおすすめします。プロの意見を聞いた上で、判断するのが最善です。

リフォーム前に査定を受けるべき理由

さらに重要なポイントとして、リフォーム前に査定を受けることをおすすめします

査定士に「この破損箇所があるため、査定額にどの程度影響するのか」と相談することで、本当に必要なリフォームが見えてきます。また、修理費を差し引いても売却利益が見込める場合に、初めてリフォームを検討するという順序が、費用対効果の観点からも賢明です。

まとめ

real estate letter blocks Photo by Precondo CA on Unsplash

マンション査定を高くするためのポイント9選と、リフォームの判断基準をご紹介しました。

まずは基本に立ち返り、清掃、におい対策、破損箇所の修理など、お金をかけずに実行できる対策から始めましょう。これらは査定額に確実にプラスの影響を与えます。

その上で、複数の不動産業者に査定を依頼し、相場を把握することが重要です。マンション査定の